8士業の仕事満足度ランキング

日本の代表的な士業8種の職業について仕事満足度を分析しました。士業8業種(弁護士・司法書士・行政書士・弁理士・税理士・社会保険労務士・土地家屋調査士・海事代理士)の知られざる意外な仕事満足度ランキング発表致します。

士業と聞くと何かと高年収で待遇の良い職業のイメージですが、実際に働いている人は自分の仕事をどう感じているのでしょうか?実際のところ働いている人でなければその実態は分かりにくいものです。そこでこれからの資格を持つ人々の満足度を調査し実際にその士業の働き方を調べてみました。新たに士業の資格を取得しようと考えている方であれば、資格を選ぶ上でこのランキング参考に検討してみるのもいいでしょう。また普通に生活していると士業の人とは関わりが少なくその実態を知る機会多くありませんがこちらの調査をもとにその仕事を知る材料にしてみてはいかがでしょうか?

8士業の仕事満足度ランキングの分析対象データと分析手法

分析対象データは、士業8業種に関連する内容が含まれる最新(2018年10月31日時点)約10万ツイートを対象としました。そのうえで、すべてのツイートに対して強力な自然言語処理と機械学習エンジンを活用し、仕事満足度を20段階で定量化。そのツイートの分布から満足度の加重平均を行うことで仕事満足度を算出し、ランキング化しました。

仕事満足度の分析結果

8士業中5士業が50%を超えており全体でみると概ね満足度高い結果になりました。一方で満足度の分布は業種によって大きく異なっており、全体的に満足度の高い職業や満足度が著しく低い層がいる職業などそれぞれ士業の特徴が反映されている結果が出ています。一般に独占業務で守られている士業であっても、仕事への満足度は低い水準でことも多く、世間における士業のイメージと満足度は一致しているとは言い難いようです。 しかし、業種別に個別で見てみると、中には90%以上の高い水準で満足している人が多い業種や、10%以下の水準で満足していない(大変不満に思っている)人が多い業種なども判明しました。そこで業種別に仕事満足度の分布とその特徴を公開します。

仕事満足度の分析結果

仕事満足度分析ヒストグラム

分布ヒストグラムの見方は、1が大変満足(満足度100%)、-1が大変不満(満足度0%)を示し、右に行けば行くほど満足度が高いという形になっています。

第1位 司法書士 59.4%

司法書士

司法書士とは登記手続きの代理や法務局等に提出する書類の作成提出を行う国家資格です。士業のランキングでは満足度59.4%と1位と非常に好結果を出しています。とりわけ注目すべきは不満な人が非常に少ない点にあるといえます。司法書士はいわゆる独立して開業する人が多くいます。そのため稼いでいる人とそうでない人の差が激しいといえますが、平均的には報酬が高く稼ぎの良い業種といえます。司法書士は弁護士を取得すると自動で取得できるため、弁護士でありながらも司法書士の職務に集中することで高い所得を享受していることが予想されます。加えて司法書士は行政書士の資格も兼ねていることが多く、行政書士のメリットを享受した上で、司法書士としての資格を最大限生かしているようです。また昨今、消費者金融の法定利息を超えた不当利息の返還請求で一稼ぎした士業であり、過払金請求の代行がブームになったことで高い報酬案件が多く発生し、比較的多くの司法書士が好待遇の機会に恵まれた影響もあるようです。

第2位 弁理士 56.1%

弁理士

弁理士とは知的財産のプロフェッショナルであり知的財産権の高まりと共に注目を浴びている国家資格です。今回の調査結果では満足度56.1%で第2位と好成績を残しました。弁理士を取り巻く状況も追い風になっており、特許・商標などの出願手続きは増加の一途をたどっています。そのため現在の必要とされる人材に比してまだ供給が追いついていないと言われています。また最近は特許事務所だけではなく一般企業で働く事も多いため手厚い資格手当などの給付があることも順位を伸ばした可能性があります。転職市場でも特許に関する実務の経験があると年収が比較的高い傾向があり一般には高待遇の資格であると言えます。

第3位 税理士 53.5%

税理士

税理士は言わずと知れた税金のプロフェッショナルです。満足度は53.5%の3位と世間のイメージ通りの高い結果が出ています。税理士には大きく独立開業する税理士と大手の税理士事務所や企業でサラリーマンとして働く2種類があります。独立開業している税理士は一旦顧客を開拓すれば安定した収入が見込めるため、待遇で大きな不満をもつ層は多くないと言えるでしょう。親子二代にわたる税理士などでは2代目の税理士は顧客基盤をそのまま引き継げばすぐに安定した仕事を受注できるため、一族で安定した財産を築いている人が多いようです。また税理士事務所や企業で税理士として働く場合においても、一般のサラリーマンよりも高い年収が見込める上、資格手当も手厚く好待遇なことが知られています。また近年、海外M&Aをはじめとした大手企業の税務リスクの高まっており、極めて高額な年収の税理士かいる一方でクライアントの要求に応えるため高いストレスに晒されている可能性もあります。



第4位 行政書士 53.2%

行政書士

行政書士とは官公庁に提出する書類の作成などの法務手続きを行うことができる専門家です。満足度は4位の53.2%と比較的高い結果ではあるものの繁盛している事務所とそうでない事務所の差が大きい業種であることを反映しており満足度にばらつき大きいという結果となりました。また行政書士は弁護士や司法書士など他の資格者が追加で取得することが多い資格です。実際のところ試験難易度も他の資格と比較してみると高くはありません。合格率も年によってばらつきがありはするものの平均すると20%前後と他の法律系資格に比べると取得しやすい資格です。そのため新規の人材供給が多く、資格所有者であっても資格を活かした職業につかない事も多いとされています。このような背景からもばらつきのある結果になったと想定されています。また実際のところ廃業する行政書士も多いため、あまりに儲からない行政書士は撤退を余儀なくされるため、満足度が低い層が撤退することによって平均的な満足度が底上げされている可能性もあります。

第5位 土地家屋調査士 53.2%

土地家屋調査士

土地家屋調査士とは不動産を登記するために測量や調査する専門家です。士業ランキングも5位で満足度も53.2%と比較的高い満足度でした。土地家屋調査士は比較的マイナーな士業でありながらも不動産、土地の調査という仕事柄、安定した仕事の受注が見込まれ中心帯に分布する傾向が見られています。また土地家屋調査士は独立して開業する人も多く、他の士業と比べるとニッチな分だけ安定した職業であるようです。また昨今、日本全国で空き家が問題になっていますが、仮に日本全国の不動産で登記が必須化されると土地家屋調査士のニーズは飛躍的に高まり、今後仕事の満足度にも大きな変化が見込まれるでしょう。

第6位 海事代理士 48.7%

海事代理士

海事代理士とは海の司法書士とも呼ばれることもある士業であり、船舶の登記など海運業、造船業に特化した法律系の専門家です。馴染みの少ない士業ではありますが、名前からもわかる通り一般には海運業、造船業といった港湾関連の企業で働く人が多いためやや独特な業態といえるでしょう。仕事の満足度は48.7%と6位ながらも分布が中心に固まっており非常に安定している模様が伺えます。海事代理士の仕事は船舶の登記の職業は司法書士や行政書士にも出来る業務ではあるももの、実際には海運業、造船業との人脈や独自の商習慣を理解した上で、地場に根付いた営業を行う必要があるため、多くの地域で独占的な経営が出来ているようです。また新規参入も少ないため激しい競争が起こりにくいといった要因もあり他の士業比べて安定した結果が出ていると想定されます。

第7位 弁護士 48.4%

弁護士

満足度は48.4%の7位と意外な順位となった弁護士。法律系士業の最高峰でありながら、試験の合格率も低く最難関の資格であることは周知のとおりです。また弁護士は誰もが憧れる職業でありながら、難関な試験・多忙な業務の割に見返りが多くないとい事がよく知られています。とりわけ若手弁護士の待遇は今一つのようで、特に大手弁護士事務所に入れなかった場合には中小の弁護士事務所で働き思った以上に稼げないことが多いようです。また独立系の弁護士の中にも弁護士に関する案件を受注できずに低年収に甘んじている層が一定いると言われています。加えて弁護士特有の職務についても、順位を下げる要因になっていると考えられます。法律のプロフェッショナルでありながら、判決事例の調査、資料の調査をはじめ多くの時間を地道な作業に費やしている事も満足度が高まらない一因であるようです。一般にエリートで高年収のイメージである弁護士ですがクライアントの依頼に応える為に多くを犠牲にする職業であるようです。

第8位 社会保険労務士 43.9%

社会保険労務士

社会保険労務士とは労働や社会保障関連の法律系のプロフェッショナルです。満足度は43.9%で8位と全士業の中で最下位を記録しました。社会保険労務士は独立開業から一般企業、公務員など多岐にわたる働き方があります。一般に独立開業する有資格者は一定数いるようですが上手く軌道に乗るにはかなり難しいとされています。独占業務は厚生労働関連で幅広くあるものの、世間で必要されているものはコンサルティングであり、うまく営業が出来ない社会保険労務士は安定した仕事の受注ができない場合も多いようです。また一般企業や・公務員で働く資格保有者も知識・経験を活かせる職種は多いものの、資格試験の難易度が高く苦労して取得した資格の労力に見合うだけの魅力は薄いようです。社会保険労務士はその資格専業で収入を得る人は多くないため、他の法律系資格と並行して取得している場合も多いようです。資格保有者の供給過多であることから、資格を活かすとなると低賃金になりやすく労務環境が優れない傾向が伺えます。労務関連の士業でありがならも自分の労務状況が悪い傾向にあるという残念な結果でした。